EATING LESS
「最近、食べる量が減ってきた」「体重が落ちてきた」——食欲の問題と片づけられがちですが、背景には義歯の不適合・口腔乾燥・咀嚼力や嚥下機能の低下・薬剤の影響など、複数の要因が重なっていることが少なくありません。
放置のリスク
食事量の低下は、エネルギー・たんぱく質不足から体重減少・サルコペニア・フレイルへと連鎖し、転倒や肺炎、入院リスクを高めるとされています。「食欲がない」だけで終わらせず、口の中で何が起きているかを点検することが大切です。
義歯が合わない、口の中が乾く、噛むと痛い、飲み込みづらい——こうした口腔・嚥下の問題は、本人にとって自覚しづらく、ご家族にも気づかれにくい領域です。歯科の視点から評価することで、食事量低下の原因の一端が見えてくることがあります。
01 — DENTURE
入れ歯が合わず痛む・外れる・噛みづらい状態が続くと、無意識に硬いものを避け、食事の量・質が同時に落ちていきます。義歯は作って終わりではなく、定期的な調整・リライン・作り直しが前提です。
02 — DRY MOUTH
唾液量が減ると、食物がまとまらず、味も感じにくくなります。「食べ物がパサつく」「口の中で食べ物が動かない」感覚は食意欲を下げ、結果として食事量が減ることがあります。服薬の副作用が背景にあるケースも報告されています。
03 — CHEWING
残存歯の減少、歯周病による動揺、舌・頬の筋力低下などにより、噛む力そのものが落ちます。咀嚼力が落ちると食形態が偏り、たんぱく質や食物繊維が不足しやすくなるとされています。
04 — SWALLOWING
飲み込みづらい・むせる経験が増えると、無意識に「食べるのが怖い」状態になり、量が減っていきます。早期に嚥下機能を評価し、食形態や姿勢を調整することで、安心して食べられる環境を整えやすくなります。
05 — MEDICATION / MOOD
多剤服用に伴う口腔乾燥や味覚変化、抑うつ症状や認知機能の変化なども、食事量の低下に関与すると考えられています。歯科の評価とともに、医科・薬剤師・ケアマネジャーとの連携で全体像を捉えることが大切とされています。
WHEN TO SEE A DENTIST
半年で体重が2〜3kg以上減った
食事を残すことが増えた・量が以前の半分以下になった
入れ歯が合わない・痛い・外れる
硬いものを避け、柔らかいものばかり選ぶようになった
口の中が乾く・味を感じにくい
食事中にむせる・飲み込みづらい場面がある
食事に以前より時間がかかる、途中で疲れて止まる
服薬の種類が多く、口の乾きや食欲低下を感じる
3つ以上当てはまる場合、歯科での口腔機能評価と嚥下チェックをおすすめします。通院が難しい方は訪問歯科でも対応可能です。
FAQ
体重減少が急な場合・発熱や疼痛を伴う場合は、まず内科の受診をおすすめします。明らかな全身疾患がなく、入れ歯や口の中の違和感がある場合は、歯科で口腔機能・嚥下の評価を行うことが有用とされています。
入れ歯の適合改善で「噛める範囲」が広がり、食事量が回復するケースは少なくありません。一方、咀嚼力・嚥下機能・栄養状態など複数の要因が絡むことも多く、必要に応じてリハビリ・栄養指導を組み合わせます。
はい、訪問歯科で口腔機能評価・嚥下評価(必要に応じてVE)・入れ歯調整・口腔ケアまで対応可能です。管理栄養士も同行できます。
食事量の低下は「年齢のせい」と片づけられがちですが、口の中の状態は介入で変えられる領域です。ご家族からのご相談だけでも承ります。
訪問歯科は医療保険、介護保険の対象です。要介護認定の有無や状態に応じて適用区分が異なりますので、ご相談時にご説明します。
EVIDENCE
高齢期の体重減少・低栄養は、口腔機能・嚥下機能の低下と関連すると報告されています。以下は学会・論文で公表されているデータの一例です。
2.4倍
口腔機能低下とサルコペニアの関連
口腔機能低下症に該当する高齢者では、そうでない群と比較して、サルコペニアのリスクが約2倍以上に上がると報告されています。
出典: 日本老年歯科医学会 報告
40%
口腔ケアでの誤嚥性肺炎発症率低下
介護施設での口腔ケア介入により、誤嚥性肺炎の発症率がおよそ4割低下したと報告されています。食事量の維持と肺炎予防の両面で口腔ケアの意義が示唆されているとされています。
出典: Yoneyama T et al., Lancet 1999
約30%
在宅高齢者の低栄養該当率
在宅で過ごす高齢者では、約3割に低栄養または低栄養リスクが認められると報告されています。背景には口腔・嚥下機能の低下が関与すると指摘されているとされています。
出典: 日本在宅医療連合学会 ほか
1.7倍
咀嚼困難と体重減少の関連
咀嚼困難を有する高齢者では、そうでない群と比較して有意な体重減少を経験する割合が高いと報告されています。義歯の適合改善や口腔機能訓練が有効とされています。
出典: 国内外の老年歯科疫学研究
※ 一般的な研究データであり、個別の効果や成功を保証するものではありません。実際の経過は症例ごとに異なります。
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