HALITOSIS
「胃の調子が悪いから口臭がするんでしょうか」——日々のご相談で最も多い誤解の一つです。歯科医師の視点で、口臭の本当の発生源を整理します。
よくある誤解
口臭の発生源は、口腔内・呼気・全身の3経路に大きく分かれます。複数の調査・専門書の総括によれば、病的な口臭の 約80〜90%は口腔内由来。胃から上がってくる「胃由来口臭」は、解剖学的にも頻度的にも、実はごく少数派と説明されています。
食道は普段、下部食道括約筋によって閉じており、ガスや臭いが上がってくることは構造的に多くありません。げっぷの瞬間に一時的に臭うことはあっても、それが「常時続く口臭」になることはまれです。
このコラムでは、口臭の発生源を整理し、どこに相談すれば改善につながるのかをご案内します。
COLUMN INDEX
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SUPERVISOR
01 — PERIODONTITIS(約40〜50%)
歯周ポケット内の嫌気性菌が産生する揮発性硫黄化合物(VSC:硫化水素・メチルメルカプタン)が、強い臭いの主犯。中等度〜重度歯周病ほど臭いは強くなる傾向があると報告されています。
02 — TONGUE COATING(約30〜40%)
舌の奥に付着する白〜黄色の苔状物質。剥がれた粘膜・食べかす・細菌の塊で、VSCの主要産生部位の一つ。健常者の口臭でも舌苔の関与が大きいとされ、専用の舌ブラシによるケアが推奨されます。
03 — DRY MOUTH(口腔起源)
唾液の抗菌・自浄作用が落ちれば細菌が増えてVSC産生も増えます。深いむし歯・適合の悪い被せ物・古い義歯の隙間も、細菌の温床となり臭いを発します。
04 — ENT(耳鼻科領域:数%)
慢性副鼻腔炎の後鼻漏や、扁桃の窪みに溜まる膿栓(臭い玉)も口臭原因となります。歯科で口腔内に原因が見つからない場合、耳鼻咽喉科への受診をお勧めすることがあります。
05 — SYSTEMIC(全身:少数)
糖尿病でのケトン臭、肝障害でのアミン臭、ヘリコバクター・ピロリ感染による胃由来の臭いなど。ただし全身疾患由来は全体の数%程度との報告で、まずは歯科での評価が現実的な第一歩です。
WHERE TO START
統計的にも経験的にも、まず歯科でのチェックが最も効率的です。歯科で原因が特定できなければ、医科への紹介をご案内します。
歯周病の有無、舌苔の状態、唾液量、むし歯・修復物の確認まで一通り評価。原因の8〜9割はこの段階で見つかると言われています。
慢性副鼻腔炎・後鼻漏・扁桃の問題が疑われる場合は耳鼻科へ。歯科から情報提供書をお渡しできます。
歯科・耳鼻科で原因が見つからず、消化器症状を伴う場合のみ消化器内科へ。順序立てて進めることで、無駄な検査を避けられます。
客観的には口臭がないのに本人が強く気にされる「自臭症」もあります。診査で問題がない場合は、ご本人の不安を伴走しながらサポートします。
DISCLAIMER
本コラムは一般的な歯科医療情報の提供を目的としています。記載の寄与度は、日本口臭学会・日本歯周病学会・国内外の歯科教科書で示された概数を参考にしています。特定の効果を保証するものではなく、症状の判断は診査・診断に基づいて行います。
全身疾患由来の口臭が疑われる場合は、必ず医科への受診をご案内します。歯科だけで全身疾患を診断することはできません。
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