CARE INSURANCE
介護保険サービスのひとつ「居宅療養管理指導」。歯科医師・歯科衛生士がご自宅を訪問して行う管理・指導の内容を、ケアマネジャー・ご家族向けにわかりやすくお伝えします。
この記事の要点
CONTENTS
SUPERVISOR
監修:桐生 賢太(きりう けんた)
つむぎ歯科クリニック 院長/歯科医師
訪問歯科診療を専従の歯科衛生士チームとともに運営。地域のケアマネジャー・訪問看護師との連携実績多数。院長プロフィール →
最終更新日:2026年7月24日
01 — ABOUT
居宅療養管理指導(きょたくりょうようかんりしどう)は、介護保険サービスのひとつです。通院が難しい要介護の方のご自宅(居宅)に、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士などの専門職が訪問し、療養生活を送るうえで必要な管理や指導を行います。
このうち歯科に関わるものが「歯科医師が行う居宅療養管理指導」と「歯科衛生士が行う居宅療養管理指導」です。デイサービスや訪問介護のように介助そのものを提供するサービスではなく、お口の健康を保つための専門的な助言・管理を届けるサービス、とイメージしていただくとわかりやすいと思います。
「歯医者さんが家に来る」と聞くと治療を思い浮かべる方が多いのですが、居宅療養管理指導は治療そのものではなく、その方の療養を支える「管理・指導」の枠組みです。治療(訪問歯科診療)との関係は、後半の章で詳しくご説明します。
02 — SERVICE
歯科医師・歯科衛生士がご自宅を訪問し、その方の状態に合わせて次のような管理・指導を行います。
歯みがきやうがいの方法、清掃用具の選び方、むせにくい姿勢など、その方の状態に合わせた毎日のお口のケアを具体的にお伝えします。誤嚥性肺炎の予防にもつながる、居宅療養管理指導の中心的な内容です。
入れ歯のお手入れ方法や使い方、「合っていないかもしれない」というサインの見つけ方をお伝えします。調整や修理が必要な場合は、医療保険の訪問歯科診療へのつなぎ方もご案内します。
ご本人だけでなく、介護を担うご家族やヘルパーの方に、日々のケアで気をつけたいポイントをお伝えします。また、ケアマネジャーへの情報提供が制度上組み込まれており、ケアプラン作成に必要な情報を共有します。
03 — ELIGIBILITY
居宅療養管理指導を利用できるのは、要介護認定(要介護1〜5)を受けている方で、通院が困難な方です。要支援1・2の方には、同じ内容が「介護予防居宅療養管理指導」という介護予防の枠組みで提供されます。
「通院が困難」というと寝たきりの方を想像されがちですが、足腰が弱って一人での外出が難しい方、認知症で付き添いなしの通院が難しい方など、幅広いケースが対象になり得ます。判断に迷う場合は、まずご相談ください。
なお、要介護認定を受けていない方でも、通院困難な医学的な理由があれば医療保険での訪問歯科をご利用いただける場合があります。詳しくは「訪問歯科の費用、医療保険と介護保険どっちで使う?」をご覧ください。
04 — CARE PLAN
ケアマネジャーの方に特に知っていただきたいのがこの点です。居宅療養管理指導は、区分支給限度基準額の対象外です。つまり、デイサービスや訪問介護などで給付枠を上限近くまで利用している方でも、他のサービスの枠を圧迫することなく導入できます。
「限度額がいっぱいで、これ以上サービスを増やせない」というケースでも、口腔の課題に対して位置づけを検討しやすいサービスといえます。誤嚥性肺炎のリスクがある方、食事量が落ちてきた方、入れ歯の不具合を訴える方などで、口腔の専門職の関与が必要な場合の選択肢としてご活用ください。
また、訪問の結果はケアマネジャーへ情報提供される仕組みになっているため、モニタリングやケアプランの見直しにもつなげやすくなっています。当院のケアマネジャー向けの連携窓口については「ケアマネジャー・施設職員の方へ」をご覧ください。
05 — FREQUENCY
居宅療養管理指導は、制度上1か月に利用できる回数に上限が定められています。歯科医師によるものと歯科衛生士によるものでそれぞれ上限があり、実際に何回訪問するかは、お口の状態やご本人・ご家族のご希望をふまえて計画を立てます。
毎週のように専門的なケアが必要な方もいれば、月1回の確認で十分な方もいます。「多く使うほどよい」というものではなく、その方に必要な頻度を歯科医師が判断し、無理のない形でご提案します。
費用は、介護保険の自己負担割合(1〜3割)に応じたご負担となります。具体的な金額は要介護度やサービス内容により異なりますので、初回訪問時に書面でご案内しています。費用の全体像は「訪問歯科の費用のご案内」もあわせてご覧ください。
06 — MEDICAL INSURANCE
ここまで見てきた居宅療養管理指導は「管理・指導」の枠組みですが、むし歯の治療・抜歯・入れ歯の作製や調整といった治療行為は、医療保険の「訪問歯科診療」として行われます。
実際の訪問では、同じ訪問の中で両方が併用される場合があります。たとえば、歯科医師が入れ歯の調整(医療保険)を行い、あわせて療養上の管理・指導(介護保険)を行う、というイメージです。それぞれ別の制度から算定される仕組みのため、同じ内容が二重に請求されることはありません。
医療保険分のご負担は処置内容によって変わりますが、訪問ごとの基本料(歯科訪問診療料)は1割負担でおおよそ1,000円前後が目安です。医療保険と介護保険の使い分けの全体像は、こちらのコラムで詳しく解説しています。
07 — HOW TO START
きっかけは大きく2つです。どちらの入口からでも、その後の流れは変わりません。
担当のケアマネジャーに「お口のことで困っている」とお伝えいただければ、ケアマネジャーから当院へご連絡いただけます。ケアプランへの位置づけもスムーズです。
当院の訪問ダイヤル(049-298-3203)へ直接お電話いただいても構いません。ご相談の内容に応じて、担当のケアマネジャーとの情報共有も当院からお手伝いします。
ご相談の後は、初回訪問の日程を調整し、お口の状態の確認・ご説明・費用のご案内を行ったうえで、継続的な訪問の計画を立てていきます。ケアマネジャー向けの連携資料はケアマネジャー向けページでもご案内しています。
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「うちの利用者さんは対象になる?」「まず何から始めれば?」という段階のご相談も、訪問専門の窓口でお受けします。