つむぎ歯科クリニックTSUMUGI DENTAL CLINIC

POSITIONING & ORAL CARE

姿勢が変われば、
口腔ケアも変わる。

ベッド上・車いす・座位、それぞれの体位で気をつけたいこと。誤嚥リスクを下げる姿勢の工夫と、福祉用具との組み合わせを整理しました。

INTRODUCTION

口腔ケアの安全性は、
姿勢から始まる。

同じ口腔ケアの手順でも、姿勢が変わると安全性とケアのしやすさが大きく変わります。仰臥位での口腔ケアは誤嚥のリスクが高くなるため、可能であれば上体を起こした姿勢が望まれます。一方で、ご本人の関節可動域・痛み・呼吸状態など、姿勢の制約もあります。

本記事では、訪問先で出会うことの多い3つの体位(ベッド上・車いす・座位)について、口腔ケアの工夫を整理しました。福祉用具との組み合わせや、サービス担当者会議で相談したい論点もあわせて取り上げます。

監修

歯科医師 桐生 賢太

訪問歯科診療・高齢者歯科・口腔ケア・食支援に関する情報を監修

  1. 01 — BED, HEAD UP

    ベッド上・ギャッチアップ30〜60度

    仰臥位での口腔ケアは唾液・洗浄水の咽頭流入リスクがあります。ギャッチアップで上体を30〜60度起こし、頸部を軽く前屈位(あごを引いた姿勢)にすることが基本です。膝下にクッションを入れて骨盤の安定を取り、滑り落ちを防ぎます。介助者は患者さんの斜め前から見える位置に。

  2. 02 — LATERAL POSITION

    側臥位での口腔ケア

    ギャッチアップが難しい場合や、嚥下機能が著しく低下している場合は側臥位が選択肢になります。唾液・水分が咽頭に流れにくく、口角から自然に排出されるため、誤嚥リスクを下げやすい姿勢です。背部にクッションを入れて安定させ、頸部の角度を保ちます。

  3. 03 — WHEELCHAIR

    車いす上での口腔ケア

    車いすにヘッドサポートやリクライニング機能がある場合、わずかにリクライニングして頸部前屈位を取りやすくします。足底が床またはフットサポートに接地していることを確認し、骨盤を安定させます。前のめりすぎると唾液が前に垂れて衣服を汚すので、エプロン・ガーグルベースンの準備を。

  4. 04 — REGULAR CHAIR

    椅子・洗面所での口腔ケア

    座位を保てる方の場合、洗面所での口腔ケアが理想的です。鏡を使った自己ケアも継続しやすく、ご本人の主体性が保たれます。立位が不安定な方は、洗面所近くに腰掛けやシャワーチェアを置く工夫もあります。歯ブラシの自己保持が難しい場合は、太めのグリップやホルダーの活用も検討します。

  5. 05 — TOOLS & AIDS

    福祉用具・自助具の活用

    スポンジブラシ、開口保持具、吸引装置、保湿ジェル、ガーグルベースン、防水エプロン——口腔ケアを支える道具は多くあります。福祉用具貸与・購入の対象外のものは自費購入になることが多いため、必要性と費用負担を担当者会議で確認します。歯科衛生士の居宅療養管理指導の際に、ご家庭に合う用具を相談する機会も活用できます。

RISK POINTS

注意したい
4つの場面。

体位と用具の選択を誤ると、誤嚥や転倒のリスクにつながる場面があります。次の4つの場面では特に丁寧に確認します。

  1. 仰臥位での水を使うケア

    完全な仰臥位でうがいや洗浄を行うのは避けます。可能であればギャッチアップ、それも難しければ側臥位を選択。水分は最小限にし、ガーゼ清拭中心に切り替える判断も。

  2. 頸部後屈位

    頭を後ろに反らせた姿勢(あごが上向き)は、咽頭が直線に近づき誤嚥リスクが上がります。クッションや枕で頸部前屈位を保つ工夫を。

  3. 立位が不安定な方の洗面所

    移乗時の転倒、洗面所内での転倒は、口腔ケアに伴うリスクのひとつです。手すり・シャワーチェアの設置、立ち上がり動作の介助方法の確認を。

  4. 食直後の口腔ケア

    食直後の臥床は逆流・誤嚥につながりやすい時間帯です。食後30分は座位を保つ、口腔ケアもその時間帯に行うことが望まれます。

本記事は、口腔ケアの体位・福祉用具に関する一般的な情報提供を目的としています。個別の体位選択・用具選定は、利用者さんの状態と主治医・歯科医師・理学療法士等の指導にもとづいて行ってください。

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