つむぎ歯科クリニックTSUMUGI DENTAL CLINIC

FOR FAMILIES

認知症のある親の
口腔ケア、家族ができること。

「歯磨きを嫌がられる」「義歯を入れてくれない」——認知症が進むなかでの口腔ケアに悩むご家族へ、段階別の考え方と工夫をまとめました。

FOR WHOM

この記事の対象

INTRODUCTION

本人の世界に、
合わせていく口腔ケア。

認知症がある方の口腔ケアは、健康な方への口腔ケアと「目的」も「やり方」も違ってきます。むし歯予防や歯石除去そのものよりも、痛みを起こさない・誤嚥性肺炎を起こさない・食べる力を維持する、という目標が前に来ます。

「歯磨きを嫌がる」「義歯を勝手に外して隠す」「口を開けてくれない」——こうした行動の多くは、本人の悪意やわがままではなく、認知機能の変化のなかで起きている自然な反応とされています。本人の世界に近づきながら、できる範囲のケアを積み重ねる視点が大切です。

本記事では、認知症の段階別の考え方、嫌がられたときの対応、食事と口腔ケアのつなぎ方、訪問歯科に依頼するタイミング、そしてつむぎ歯科の対応スタイルを順にまとめました。

監修

歯科医師 桐生 賢太

明海大学歯学部卒・2021年つむぎ歯科クリニック開業・訪問歯科を中心に診療

  1. 01 — MILD

    軽度の段階

    日常会話は成立し、自分で歯磨きはできるが、磨き残しが多くなったり、義歯の手入れが雑になったりする段階です。「磨いた・磨いていない」を本人が忘れることもあります。家族の関わりとしては、声かけと点検が中心です。歯ブラシ・歯磨き粉を見える場所に置く、洗面所に時間の目安を貼るなどの工夫が有効とされています。この段階に歯科でメインテナンスのリズムを作っておくと、後の段階でも対応がしやすくなります。

  2. 02 — MODERATE

    中度の段階

    手順を組み立てることが難しくなる段階です。歯ブラシを渡しても、何をすればいいか分からない・違う使い方をしてしまう、義歯を逆向きにはめようとする、といった場面が出てきます。家族が「一緒にやる」「一部を手伝う」が基本になります。鏡の前で同じ動きを見せる、手をそっと添える、終わったら「ありがとう、きれいになりましたよ」と労う——本人が安心できる流れを作ることが、ケアの継続につながります。

  3. 03 — SEVERE

    重度の段階

    意思疎通が難しく、口を開けてもらうこと自体に時間がかかる段階です。目的は「むし歯を作らない」よりも「肺炎を起こさない・痛みを起こさない」が前に出てきます。歯ブラシを長くあてない、出血しない範囲で短く区切る、湿潤剤で潤してから触れる——本人の負担を最小にしつつ、清潔を保つ視点が大切です。この段階は、家族だけでは判断が難しい場面が多く、訪問歯科や歯科衛生士に一緒に関わってもらう時期でもあります。

  1. 01 — TIMING

    機嫌のよい時間を選ぶ

    「食後すぐ」「夜寝る前」など決めた時間にこだわらず、本人が穏やかなタイミングで声をかけるほうが、ケアが進みやすくなります。朝のテレビを見ている時間、おやつのあと——その方のリズムを家族が一番よく知っています。

  2. 02 — APPROACH

    正面ではなく横から近づく

    正面から急に口元に手を伸ばすと、本人にとっては「何かされる」という恐怖につながりやすいとされています。横から座って同じ目線になり、まずは表情を見て・声をかけてから、ゆっくり手を動かす流れが、拒否を和らげる工夫です。

  3. 03 — WORDS

    短く・肯定的な言葉で

    「歯磨きしましょうね」よりも「お口、きれいにしましょうか」「ちょっとだけ、お口を見せてくださいね」のほうが、ご本人にとって受け入れやすいことがあります。否定や指示ではなく、お願いに近い言葉のほうが、表情がやわらぐ場面が多いです。

  4. 04 — DIVIDE

    1回で終わらせない

    「上の前歯だけ」「右側だけ」「義歯を出してもらうだけ」と分割して構いません。1回のケアで全部を終わらせる発想を手放すと、家族の側の負担も減ります。続けることが何より大切で、できなかった日があってもまた次の日でいい——その姿勢で十分です。

  5. 05 — STOP

    無理にやらない勇気を持つ

    強い拒否があったとき、押さえつけてケアを行うと、「歯磨き=怖いこと」という記憶だけが残り、次回以降のケアが一層困難になることがあります。今日はここまで、と切り上げる勇気は、長い目で見るとケアの継続を守る大切な判断です。

MEAL & CARE

食事介助と
口腔ケアをつなぐ。

口腔ケアを単独の行為と考えず、「食事介助の前後にセットで行うもの」と位置づけると、ご家族の負担も少なくなります。食前の口腔ケアは口を動かす準備運動になり、食後の口腔ケアは食物残渣の除去になります。

食事介助のタイミングで、本人の表情・むせ・口の動き・舌の動きを観察しておくと、口腔の状態に気づくきっかけになります。食事中によく噛めていないように見える・口に食べ物を溜めてしまう・水分でむせる、といったサインは、義歯の不適合や口腔機能低下、嚥下の問題が背景にあることがあります。

食後の口腔ケアは、食事の流れの「ごちそうさま」の延長として行うと、本人にも受け入れられやすい印象です。食後すぐに歯ブラシを持ち出さず、お茶を一口・口元を拭く・「お口きれいにしますね」と声をかけてから、というワンクッションが、拒否を減らす工夫になります。

WHEN TO ASK

訪問歯科を
呼ぶタイミング。

以下のサインのうち、ひとつでも当てはまる場合は、訪問歯科への相談をご検討いただける目安です。

OUR APPROACH

つむぎ歯科の
対応スタイル。

つむぎ歯科クリニックの訪問歯科では、認知症のある方への対応として、初回はまず「お会いしてお話しするだけ」「お口の中をのぞかせていただくだけ」から始めることを大切にしています。初回から治療や本格的なクリーニングを行うことは少なく、本人にとって歯科スタッフが「怖くない人」になっていただく時間を設けます。

ご家族の不安や、これまで取り組んでこられたケアの工夫を、訪問のたびに伺いながら、できることを一緒に考えていきます。ケアマネジャーさま・訪問看護師さまとの情報共有も大切にしており、サービス担当者会議への参加や、書面での連絡も対応可能です。

ご相談は、外来番号ではなく訪問歯科専用ダイヤル(049-298-3203)にお電話ください。坂戸市・鶴ヶ島市・川越市・東松山市・日高市・毛呂山町を中心に訪問しております。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医学的判断を代替するものではありません。診断・治療方針は歯科医師または主治医にご相談ください。

CONTACT

訪問歯科のご相談

「認知症のある親の口腔ケアを相談したい」「初回訪問の流れを聞きたい」——お気軽にお電話ください。

訪問歯科ダイヤル

049-298-3203

平日・土日 10:00–18:00 / 祝日休診

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